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私がガバナーに就任する前から気がかりであったのが、ポ
リオ撲滅募金キャンペーンであります。この3年間、余りご理解を頂けない会員が多いように思いますので、ポリオとロータリーの関わりについて述べてみたいと思います。
ポリオは20世紀を迎えるまでは、臨床的診断がつかず、小児麻痺として、ヨーロッパやアメリカで発生していました。1916年ニューヨークで発生したポリオの大流行が全米を襲い、麻痺患者27,000人、死者7,000人に及び、この病気の恐ろしさを思い知らされたのであります。これが、きっかけとなり、あちこちのRCが身体障害児のための事業として車椅子の寄贈、職業訓練、世帯扶助等のプログラムが組まれるようになりました。ポリオがウイルス性の疾患であり、口から体内に侵入し、喉や腸で繁殖し脊髄の神経を侵す病気であることが判るようになり、ポリオ・ワクチンが開発されるようになりました。
1960年ソ連で7,700万人が経口ポリオ・ワクチンを予防接種され、ポリオの新規症例が姿を消し、鉄の肺に閉じこめられることもなくなりましたが、未接種の発展途上国では、身体障害児が増え続けてゆきます。日本でも1961年ポリの大流行で当時のソ連から、生ワクチンを大量輸入して子供達を救っています。北海道もその恩恵に浴しています。これに対して、アルバート・セービン博士(経口ワクチンの開発者)はポリオの一斉予防接種を強く提唱していましたが、1970年代にはアメリカ防疫センター、WHO、国際ロータリーでも各々その方策を考えるようになりました。しかし、現実には一斉投与は非常に困難であります。
1979年ロータリーはフィリピンの100万人の子供たちにポリオの予防接種を行う3−Hプログラムを実施しています。そして1982年RI理事会は「国際ロータリーが創設100周年を迎える2005年までに世界中の子供たち全員にポリオの予防接種を行うこと」を採択しています。この「ポリオ2005」プログラムは世界の新生児に5年間ワクチンを提供するために12,000万ドル必要であり、ワクチン投与のためロータリー・ボランティアを動員することをロータリー創設80周年記念日である1985年2月23日に正式発表し、募金キャンペーンを始めました。その結果21,900万ドルの募金結果で1988年5月に完了しています。1988年には125ヶ国35万件の新規発生者数が2002年7ヶ国1,919件と、99%の減少をみています。
しかし、戦争や内紛のため未接種の子供たちがいますし、その監視活動も困難を極めています。そのため、2002〜03年に8,000万ドルの追加キャンペーンが行われました。これに対して日本では、この内1,600万ドルを1人毎年50ドルずつ3年間で1人150ドルを募金することを誓約いたしました。このRIポリオ撲滅募金キャンペーンの最後が2005年6月30日であります。2005年4月末現在日本34地区の1人平均が130ドルですが、当地区は80ドルで31位と低調であります。150ドルを越えているクラブは12クラブですが、この3年間全く協力頂けないか、10ドル以下が13クラブもあります。長すぎる不況による疲弊の状況は充分理解しておりますが、ポリオによる障害や死におびえる子供たちをなくすため、またロータリアンとしての誇りを全うするためにも、残すところわずか1ヶ月でありますが、全力を傾けて頂きたいと思います。グレン・E・エステスRI会長は6月30日に間に合わなくても2005年中にはポリオ新規発生患者はいなくなるであろうと確信されています
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