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ガバナーからのメッセージ  <第2回>

 ロータリー! より拡く、より強く

 雲の峰に夏の訪れを知ります。会長・幹事さん、いかがお過ごしでしょうか。私もシカゴの国際大会より帰国後、間もなく公式訪問が始まり忙しい日々を送っておりますが、息災に過ごしておりますのでご安心ください。ご承知のように8月は会員増強および拡大月間です。RIの任務の第一はロータリーの拡大です。なぜなら全世界にわたってロータリーの理想を推進するためには、会員数が増えクラブの数が増えればそれだけ奉仕の輪が広がるからです。したがってロータリーの拡大・増強は国際ロータリーの永遠のテーマです。以前は増強を議論する時必ず量か質かの問題が提起されましたが、最近は職業人としての質はお構いなし、人の顔さえ見れば入れ入れとロータリアンは保険の外交員宜しく、会員増強がノルマとなりました。ロータリークラブは数を頼む集団となりロータリーの心は失われてしまいました。その結果、「悪貨は良貨を駆逐する」の例えの通りロータリーは魅力を失い大事なクラブの宝であるベテラン会員の退会が相次ぎました。何故RIはなりふりかまわず会員増強に憂き身をやつしたのでしょうか。歴史的背景を探ってみましょう。ロータリーの金看板と言われ、ロータリーを今日の隆盛に導いた職業奉仕はポール没後、ロータリー運動の主流から外れました。すなわち1947年、ポール・ハリスが亡くなった年にRIの職業奉仕委員会は廃止されました。そして第二次世界大戦を契機に世界平和の考え方が導入されます。また1960年頃からWCSが中心になり、国際ボランティアの道をRIは選択しました。3H、ポリオプラスと進展し名実共にロータリーは職業奉仕を捨てて、国際ボランティア団体となりました。

 さらにロータリー財団の創立が国際ボランティア運動推進に拍車をかけました。1917年アーチ・クランフが財団を設立しました。最初は寄付が集まらず開店休業の状態でしたが、ポールの死を悼んで財団奨学生のためのポール・ハリス・フェローが盛んになりました。莫大な寄付金が集まりました。もともと教育を通して国際理解を深め、その結果として世界平和を図ろうという目的で出来ましたが、財団本部が国際ボランティア事業を拡大して自ら事業主となりました。財団はもともとRIの一機構に過ぎなかったのですが、財団がRIの主役となりました。今や財団無くしてロータリー無し。そしてRIは財団の集金係りとなりました。財団がボランティア活動に専念する為には、大量の資金が要ります。会員増強が至上命令となり、なりふり構わぬ会員増強と財団寄付が叫ばれます。私はRIが国際ボランティア活動に参加する事を否定するものではありません。ロータリーは世界的な組織であります。だからロータリー財団は世界的なマクロな視点に立つのは当然です。会員増強と財団寄付を最重点目標として、飢餓追放、貧困対策、災害救助、疾病予防、識字率の向上など国連や赤十字、ユニセフのお手伝いをする人道的国際奉仕の道を進むのは当然の成り行きであります。世界は一つ、世界平和の為に弱者を救済する事はロータリアンの義務であり、我々も協力は惜しむものではありません。

 しかし奉仕の心を学ぶ場であるロータリーが、このようにしてボランティァという刹那的な金銭奉仕にのみ心が奪われると、ロータリー運動の原点である親睦の理解が上辺だけのものにならざるを得ず、ロータリー運動の虚飾性は一段と強いものになってきます。そして、その上、ボランティア活動そのものは奉仕の適切なテーマであるにしても、その寄付活動に参加する前後の「心の空洞化」は回避する事は出来ず、ロータリー運動の実情は単なる偽善的かつ断片的なお付き合いの奉仕活動となってしまっているのであります。日本ロータリーの始祖、米山さんが例会出席を通じて、各ロータリアンとの親睦の内にロータリーの心を会得し、その心をもって千差万別な実践活動を行ったのとは大変異なるのであります。最近のロータリーは奉仕の心の裏付けの無い断片的行動ないし、団体的事業計画の奉仕ばかりで、二重人格的世界の中の仮住まいという情けない状態になってしまいました。

 長々とポール・ハリス没後のロータリーの流れについてのべました。しかしロータリー100周年を機にその潮流が少し変化しました。その一環として国際協議会で職業奉仕の再構築が取り上げられました。職業奉仕はロータリアンにも地域の人たちへもベネフィットを与えてきました。その職業奉仕をないがしろにしてロータリーは魅力を失い、求心力を失いました。会員の退会増加がそのことを明確に示しています。長い間国際ロータリーでは職業奉仕という言葉は「死語」となっていました。しかし昨年2月の国際協議会で今まで誰もRIの公式講演の場で発言できなかった職業奉仕の再構築について元RI会長ビチャイ・ラタクル氏は爆弾的・革命的発言をされました。ラタクル氏の講演を引用します。「ロータリーは貧困、飢餓、疾病に苦しむ何十億人もの人を救い、豊かにしてきました。ロータリーが人道的経済的プログラムで嵐を切り抜けどれほど貢献してきたか、それは誇るに足ることです。しかしそれは立派なことであっても所詮外面的な行いを見ているに過ぎません。ポリオとの戦いには勝つでしょう。あらゆる病気、教育、貧困になおも手を差し伸べなければなりません。この世に善を成すためには、自らの力の限界を知らなければなりません。しかし力の源となる奉仕の哲学が事々に裏切られたのが今の世代なのです。私が申し上げたいのはロータリーの内面の問題です。ロータリーに課せられたもっとも重大な挑戦課題でありながらここのところずっと無視されてきた問題です。いく年もいく年も話題にもされず討議もされなかった挑戦課題 それはロータリーの金看板職業奉仕です。今もこれからも職業倫理の提唱と自愛の心をロータリアン以外の人々に分かち与えていかねばならないのです。残念ながら私たちの多くがこの最も重要なロータリー哲学の真髄を忘れてしまいました。なんと恥ずかしいことではありませんか」

 ロータリー101年目、我々に課せられた最大の使命はかつてロータリーを隆盛に導いた職業奉仕の再構築です。増強・拡大はロータリーの永遠の課題です。しかしその前に魅力あるクラブを作ることが大前提です。ラタクル元RI会長の言葉どおり職業奉仕はロータリーの魅力の源泉でした。(これについては10月の職業奉仕月間で触れます)  各クラブ会員純増1名はステンハマー会長の要望です。新たなロータリーの世紀を踏み出す仲間を1名増やしてください。また増強は単にRI会長の要望だからするのではなく、クラブの存続にも新しい血の導入が欠かせません。ただし会員の選考はクラブ細則の通り厳格に行ってください。2、3の不良会員を入れるとクラブ全体が駄目になってしまう。「りんご箱の中のりんごが1個でも腐ると皆腐ってしまう」という言葉があります。今年のアナハイムでもヨーロッパは会員選考を厳しくしたので会員数が増えてきたという報告がありました。会員選考は世界的に量から質への回帰が再び問われる時代となりました。難しいことですが、ロータリーに相応しい新会員を探してください。

 いささか駄弁を弄してしまいました。向暑のみぎり会長・幹事の皆様のご健勝をご祈念申し上げます。

参考文献 佐藤千寿氏(不易流行) 小堀憲助氏(ロータリー運動)

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