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ガバナーメッセージ  <第12回>

WCSの事業を検証―特集

 5月16日から21日までの6日間WCS事業の検証を行うため本年度事業実施クラブの方々とタイ国訪問を しましたので報告を兼ねて、この度のガバナー月信をWCSの特集と致しました。この機会に世界社会奉仕 (World Community Service : WCS)をよりご理解いただければ幸いと思います。
 ロータリーは職業奉仕を第一義としているのは周知のことですが、四大奉仕が示すように国際奉仕や社 会奉仕も同等に重要でやりがいのあるロータリー活動であります。
 2510地区のWCSはタイ、スリランカ、インドネシア、モンゴル等と水事業、保健衛生事業、教育事業を 主として行っております。WCSは国際地域のニーズに合わせて、必要とするところに必要とする事業を行 います。
 私が今回WCSの検証ツアーに参加するきっかけとなったのはWCSの委員会報告に5万円ほどでタイ・ チェンマイにダムを建設するとあったからです。私の認識不足で「不可能だろう」「何の役に立つのか」 と思ったからであります。しかし、話を聞いてみますと、タイ北部は山岳地帯が多く、少数民族が点在し て生活をしており、経済格差は言うにおよばず、生活用水(含む飲み水)は雨水を使っている状態です。 また、乾季と雨季の差は大きく生活は著しく水に影響を受けています。雨季にはスコールで一気に山の斜 面を雨水が流れ、山岳地方の民家は洪水の被害に遭い死者もでる状況です(山岳地方の低地に部落がある がそのためか高床式の住居が多く見られる)。大都市チェンマイも街の中心部を流れる川はこの影響を受 け洪水で腰まで水に浸かることが有るようでした。国に災害防止と保水のためダムの建設を要求したとの ことですが、それ相応の資金が必要で、それには至っていません。間々にならないのが現実でしょうか。 そこで、タイ国王の発案で竹と石を使い高さ50cm、幅3m程度の小さな関を一つの沢に数十基、数百基 と作ることで鉄砲水を防ぎ、地面に浸透させて山の保水力を高めようとするものでした。この話を聞いた とき自分の目で確かめてみたいと思ったからです。
 5月16日成田、バンコックを経由して夕方、チェンマイに到着、翌朝(17日)から検証を行いました。 検証の第一番目は伊達RCと第3360地区ランナ・チェンマイRCとの共同事業であるバイオガスプロジェク トでした。我々を乗せたバスはチェンマイ市内のタイ陸軍の教育学校に到着しミニタリーポリスのパトカ ーの先導をうけ施設の奥へと誘導されましたが、私には不可解であるため問いただすと、この施設内にバ イオガス装置が設置されているとのことでした。その理由は施設から出るバイオガスの生産材料である残 飯等の量が多いことは当然なのですが、この国は徴兵制をとっていて、経済格差の大きい地方から若者が 大勢集まるからであり、2?3年の兵役を終えた若者は生まれ故郷へと帰り地元に技術を還元できるチャ ンスがあるからでした。装置の概略は地中に20名ほどが入る穴を掘りコンクリートでドーム上に作り、空 間に残飯等を入れ、メタンガスを発生させ、それをエネルギーとして使用するという簡易なものですが、 ガスコンロを1台は賄えるそうです。用済みの残飯等は肥料として畑に再利用しておりました。この引き 渡し式典には在チェンマイ日本国総領事・横田順子氏も出席され、共に設備を検証しタイ国営放送TVの 取材を受けておりました。次の検証はチェックダムのため山の中へ入るので、横田順子総領事にお礼を申 し上げ出発しようとしたら、私も行くので私の車に乗りなさいと、声をかけていただき、同乗させていた だきました。車中、ロータリーやロータリーの奉仕活動について質問等がありましたが、慈善団体、寄付 団体との認識もあるように感じ取れましたので、ここはとばかり、ロータリーの説明をさせていただきま した。総領事も日本国がタイ国に行っている援助事業の資料を持ってきており、私に手渡してご教示して くださいましたので、その資料は早速WCS委員会に渡すこととしました。
 さて、チェックダムプロジェクトはランナ・チェンマイRCと札幌東RC、千歳セントラルRC、静内RC との共同事業として行われました。横田順子総領事から車中で「実は私はこのチェックダムを作るとき(着 工時)参加した」と話されたのです。日本からの参加がなく、勿論2510地区の会員も現地には来ておりま せんので、その代わりをしたとのことでした。話は続いて、工事は乾期に行ったので全く水は有りません ので消防車を使い、その後はランナ・チェンマイRCのメンバーと、地元住民、動員された学生によって水、 セメント、鉄筋を担いで運び込んだとのことでした。
 チェックダムは高さ約50cm、幅3?5mの小さなもので鉄筋と石とセメントで固められたものですが、 充分な機能を果たしていました。私達の訪問したのは丁度雨季にあたりましたが、チェックダムには、ほ どよく貯水され、現在のところ洪水による死者は出ていないとのことです。
 18日はチェンマイからバンコック、ウドンタニを経由してノンカイへの移動日になり、19日は早朝から 3340地区ノンカイRCとの共同事業の検証を行いました。この地区には白老、札幌はまなす、留萌、札幌手 稲、札幌南、新札幌、三石、札幌北、小樽南、登別、砂川RCがクリーンウオーター事業を札幌南RCがク リーントイレ事業を実施しました。(詳しくは出村知佳子地区WCS委員長の報告をご覧下さい)検証のた めラオス国境近くに点在する集落をバスで移動する途中の景色には、どの家にも大きなタンクというか、 水瓶が数個軒下に並べられているのが印象的でした。雨期に屋根を流れる雨水を貯めるためのもののよう です。雨水を生活用水や飲み水としているのが伺い知れます。集落の学校敷地内には高さ5m程の貯水タ ンクの下に小屋があり給水ポンプとステンレス製のフィルター方式の浄水装置が設置されていました。30 m程度の地下水をくみ上げて浄化して飲料用としています。地下水は塩分が多く含まれていると、私は地 元の人から報告を受けました。これで乾期も安心して、安全な水を飲むことが出来ると喜んでいました。 これらの検証時は休日ではありましたが、児童の他、地元住民やお坊さん(タイではお坊さんは特別扱い で空港にも特別待合室が有るくらいです)が集まり「サワディー カー」「コップ クン クラップ」と 手を合わせていたのが印象的でした。
 20日は午前中にノンカイ県知事Chadej Musigavong氏を県庁舎に表敬訪問をしましたが、タイの一般 国民のトイレ事情は劣悪であることを皆様ご存じのことと思いますが、特に知事からトイレとトイレの設 置されている場所であるレストルームの持つ意味を強調され感謝の意を伝えられ、自分のレストルームと トイレを見てくれと、わざわざ知事室の知事専用の場所を案内して頂きました。知事はタイ語ではなく英 語で話されたので、ご承知のように日本でトイレは便所を意味しますが、トイレは便器を意味し、便所は レストルームと表現するのが英語では一般的です。同日午後の便でウドンタニからバンコックを経由して 夜の便で帰国しました。
 この度の検証旅行そのものを検証してみたいと思います。
 WCSの事業はクラブ単独でも実施することは可能だと思いますが、2510地区が地区として関与し、お手 伝いをしているケースにつきましては(1)と(2)のケースがあります。
(1)クラブ50%、特別地区資金(WCS事業)より50%の同額の補助で事業を実施し、相手国クラブにも何割 かの補助をお願いしている。(必ずパートナークラブが必要)
(2)複数のクラブが共同で支援をする場合、クラブ資金総計で50%、特別地区資金(WCS事業)より50%で 行い、同じく 相手国クラブにも何割かの補助をお願いしている。(必ずパートナークラブが必要)
この他にもありますので、詳しくはWCS委員会にお問い合わせ下さい。
 チェックダム事業には各クラブの負担が5万円、バイオガス事業には10万円、クリーンウオーター事業 には10万円、クリーントイレ事業には20万円程拠出しております。
 今回の検証旅行には各自20万円から30万円の負担をして参加をいたしました。参加したクラブのある会 長さんから参加するにあたってクラブ内で「参加費用をプロジェクトに回した方がより成果が上がり、大 きな事業が出来るのではないか」と言われたそうです。実は私もそのように思った時期がありました。し かし、思い出して下さい。「ロータリーの仕事はお腹を空かした人に食事を施すことではない、共に食卓 に招いて食事をすることだ」とWilfrid J. Wilkinson RI会長が言ったとお伝えしたはずです。自分たちの 成し遂げた事業の成果を間接的に聴いても、それなりの感動をもらうことしか出来ないのです。そして、 ロータリーは慈善団体でも寄付団体でもないのです。国際地域社会が必要としているニーズを私達に手で、 ロータリー以外にも伝え広めなければならない責務があるのです。それには“又聞きの又聞き”では感動 は薄れることでしょう。私も現に参加し、在チェンマイ日本国総領事・横田順子氏にお逢いするまでは私 達RI第2510地区のためにご尽力をしていただいているとは全く知るよしもなかったのですから。私達のロ ータリーはニーズにあわせ社会への奉仕をしていかなければなりません。そのためには「Rotary Shares」 のテーマが示すように喜びも苦しみも共有しなければなりません。
 結びに今回のツアー途中、夕食までの僅かな時間を利用し、休む間もなくWCSのメンバーはオファーの あった、必要とされている支援事業の下見に出かけました。下見から帰ってきて、そっと耳打ちされた内 容は人道的にも大変重要な問題だと思われることでありました。委員会として充分な検討や調査を終えて いないようですので、ここではお知らせできないのが残念ですがメンバーは一生懸命その職分を果たして おります。そして在チェンマイ日本国総領事・横田順子氏、視察に同行された第3340地区、3360地区ガバ ーをはじめ地元クラブの会員、参加した2510地区の会員に感謝と敬意の念を表したいと思います。



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