近況報告3 2004/3/29
3月28日(日)
いよいよ明日、日本に帰国です。後半に入り、色々なことがありました。3軒目のステイ先のご主人・ベンさんは敬虔なるクリスチャンで、食事のときに必ずお祈りをします。嬉しいのは、「今日も慎二に良い出会いがあり、無事帰って来られますように」と私の名前を必ず出してくれることです。特に最後の日の朝は、「我々が、慎二と出会えたことに感謝しています」というベンさんの言葉に、思わず涙が出そうになりました。
ボケーショナルツアー(職業研修)は結局、4回予定していましたが、実質2回で終了しました。インクワイヤ、マニラブリトゥン、マニラタイムズの3社、それと印刷工場を2か所見ました。NIE を実践していると言えるのは、インクワイヤ1社のみです。他の2社もフィリピンでは有力紙なのですが、紙面で子供向けのコーナーを設けている活動に留まっているのが現状です。実際に訪れてみて、社屋や印刷工場の設備もかなり格差があり、これまで訪れた学校、病院、施設においても、同様のことが言えます。
3月26日、27日と3830地区大会が開催され、我々は2日目の午後にプレゼンテーションを行いました。与えられた時間は10分ということで、これまで行ってきた「北海道の紹介」ではなく、リーダーが5分、メンバーが1分程度、各自ここに来て学んだ事、感謝の言葉を述べました。同時に、滞在中に撮った写真60枚を厳選し、福ちゃんがセレクトした、エンヤの音楽に載せてパワーポイントで紹介しました。スピーチの場面で、小嶋さんが感極まり、思わず涙を流す場面もあり、会場から大きな拍手を頂きました。準備期間は1日でしたが、シンプルで良い発表が出来たと言えます。
最後にここで約1か月過ごしての、率直な感想を述べたいと思います。

<人と街>
私たちが出会った人々は、ほとんどがロータリークラブの人だったので余計感じると思いますが、皆さんとても親切で熱心で、とにかく元気です。一方で、約束の時間に遅れるという「フィリピンタイム」は、この国では、大半の人々が「それで問題なし」と感じているので良いのでしょうが、やはりこれは馴染みにくいものが正直なところありました。個人的な感覚では、「相手に迷惑を掛けない」というのが、どこの国でも基本ではないか、と思います。全体を通して見ると、すごくキッチリと計画を立てて、案内をするクラブがあれば、その場で決める、またはこちらの要望に耳を傾けないで動くクラブもあります。これは決してお金が有る、無しに関わらず、いかに相手のことを考えて行動するか、に帰するのではないでしょうか。私の経験から言うと、この短い期間で良い面、嫌な面の両面を見ることが出来て貴重な経験ができたと思います。この経験を元に、私が逆な立場になったときに、自分がされて嫌だと感じたことはしなければ良い話で、後は、その人の言葉に耳を傾けて、出来る範囲で、要望をかなえるように人々と接していきたいと思います。
都市部は近代都市のビルディングと、昭和20年〜30年代の日本の町並みが融合したような風景がよく目に映ります。特にショッピングモールなどは日本のスーパーやデパートとそれほど変わりはなく、消費税を気にすることなく買い物もできます。一方、必要以上に店員が多いなあ感じることがありましたが。また道路、特に信号付近には下は5歳くらいから、上は50歳くらいまで、幅広い層の人が、花、水、貝のネックレス、新聞などを売っています。停車中の車の横にきて、商品を薦めます。ある人の話によると、そこにいる子供たちの中には、家もなく、ご飯を買うお金もないので、そこで僅かな収入を得て、僅かな食料とドラッグを買う者もいるそうです。ドラッグをすると、パンひとかけらでも半日、空腹感から開放されるということで、この話を聞いたときは、非常に悲しく、そして複雑な心境になりました。また公共の乗り物では、ジプニー(小型バス)、トライシケル(サイドカー付3輪オートバイ)が主流です。これは非常に安価な乗り物で、狭い車内に、多数の人がひしめき合って乗っています。我々も一度、山中でジプニーに乗りましたが清潔感はなく、窓も無い状態なのです。街中では、排気ガスもすごいので皆、ハンカチで口を押さえています。 田舎の方、特に貧困層の地区に行くと、まず動物の糞などが散乱しており、悪臭が最初に鼻につく場所も中にはあります。建物はあばら屋がほとんどで、狭い家の中に大家族があります。人々だけでなく、犬や猫も総じて痩せています。そういう所の雰囲気はほのぼのとしており、子供の笑い声が多く聞こえます。「ここの人々、特に子供たちはお金はないけど、笑顔があります。日本人はお金は持っているけど、笑顔がないですね。皆、いつも深刻そうな表情ですよね」。私のホストファミリーだったアベスさんの言葉が印象的です。

<食>
ここの家庭料理は、鶏肉、豚肉、魚(テラピヤ)を多く使います。また調味料には醤油、照り焼きソース、酢、ケチャップが主で、カラマンシーというスダチ(柑橘類)をテーブルに置いて食べることが多くあります。また塩辛いアンチョビのようなものもよく食卓に出ます。ご飯も日本米よりとても安価ですが、味は悪くありません。昔ながらの、手で食べることも何度か経験しましたが、これはこれで、また違った味の楽しみ方ができて美味しく感じました。フルーツはマンゴ、スターアップル、パパイヤ、バナナなど、どれも非常に美味しいです。結局、ドリアンは食べずに終りましたが。またフィリピンで有名な食べ物、バドゥー(孵りかけた卵)も試しました。これは見た目がグロテスクで、非常に勇気を持って挑みました。しかし味は意外に美味しく、卵の黄身と鳥の軟骨をまとめて食べた感じです。
都市部に行くと、世界各地の料理が食べられます。中華、タイ料理、インド料理、もちろん日本料理もあります。数軒、日本料理店に行きましたが、どこも味付けは濃厚です。またフィリピンの人々は日本料理の中でも特に天ぷらが好きで、それに甘辛いケチャップのようなものを付けて食べます。一方で、ある工事現場で見た光景ですが、丁度お昼時でその作業員が食べていたものは、汚れた葉の上に少量の米とおかずがあり、それを混ぜて食べていました。田舎の方でも、カキ氷やアイス、家庭料理が道路に面した場所で並べられており、決して衛生的とは言えず、外国人にとってはなかなか手の出しにくいところであります。

<総括>
1か月という短い期間でしたが、非常に貴重な経験をしました。これまで海外経験のなかった私にとって、何もかもが新鮮でした。人々の笑顔に助けら、時にはフィリピンタイムにイラつきながらも、おおむね楽しく過ごしてきました。また冒頭の報告書でも述べたように、フィリピン在住の大場さんには、携帯電話の準備を始め、その状況に応じて、本当にきめ細やかで迅速な対応をしていただきました。心から感謝申しあげます。また同行のメンバーとの活動も大変有意義で、今回のGSE活動で出会えたことを心から嬉しく思っています。フィリピンにはもう一度会いたい人、家族があります。メールなどを利用してこれからも連絡を取り合っていけたら嬉しいです。また、最初から大きなことはできませんが、何かこの国のためにできることはないか?メンバーと話し合いながら、自分たちの出来る範囲で、継続してできることを模索して、実践していきたいと思います。最後になりますが3830地区のすべての方々、そして日本のロータリークラブ、GSE委員の方々に心から感謝申しあげます。ありがとうございました。





近況報告3 2004/3/24
研修報告A(3月16日)
気がつくと、フィリピンに着いてから2週間が経過しました。時間に対して寛容な部分があるフィリピンタイムにも少しずつ慣れてきました。3月1日から企業研修が始まりました、が、しかし、1回目は担当クラブの諸事情でキャンセルとなり、3月8日に初めて行って来ました。場所はフィリピンで有名な新聞社の1つ、PHILIPPINE DAILY INQUIRERです。ここでは最初に 会社紹介のビデオを見て、それから広告、マーケティングの担当者3人にお話を聞きました。新聞と教育に関する取り組みは週に1回、子供向けのセクション(紙面)を設けています。そして担当者が要望に応じて学校を訪れ、紙面の紹介、内容などを説明するそうです。現在のところ、対象は私立の小学校のみですが、文部省が関与しなくても新聞社独自でこういった活動を展開していたことに驚きました。これは昨年から開始したそうですが、学校からのリクエストも増えてきており、今後の展開が楽しみです。

さてホストファミリーも2軒目に移りましたが、皆さんとても親切にしてくれて、特に困ることなく生活しています。帰宅すると子供たちが待っていて、テレビを観たり、ゲームをして一緒に遊んでいます。またホストのアベスさんは日本文化が大好きということで、私が日本語を教えて、彼女が私にタガログ語を教えてくれます。朝食も山盛りでご飯が出てきます。何だか合宿に来た気分です。のり、醤油、卵も用意してくれて、私も喜んでモリモリ食べています。ちなみに1枚目の写真は、最初のホストファミリー、クラウデッテ(左)とキャロル(右)。2枚目の写真は2軒目のホストファミリーの子供、ロンロンです。



研修報告B(3月20日)
疲労がピークに達してきました。パラワン旅行以降は、週末も島に船で出かけたのでほとんど休養を取れていない状態です。特に3月15日からの週は、毎日例会が終って帰宅すると、11時〜12時、昨日は1時でした(まあ日本でもよくある時間ですが)。ある例会で、以前GSEだった人達と話をしましたが、「GSEはとにかくハードで、疲れるプログラムだからね」と、皆さん言っていました。そして意外にも疲れるのが、乗り物での移動と食事。どこに行くにも渋滞の毎日。悪路で車で揺られ、時には船で揺られ、現地に着くとグッタリしているときもあります。特にエアコンがあまり効かないときの車内はツライものがあります。また、食事はフィリピンでは1日5食くらい食べます。行く先々でおやつやキチンとした食事が用意されているので、なかなか断ることは出来ません。もちろん有難く頂いています。いくら汗をかいても痩せない理由はこのあたりにあるのでしょう。
しかしながら、ツライことばかりではありません。楽しい時間も、もちろん過ごしております。例えばこんな感じです。これは最初の週末に行ったロータリアンの別荘です。私はプールの横で30分ほどノンビリしていました。

また例会でのプレゼンテーションや挨拶もさほど緊張もせず、楽しくなってきました。その主催クラブの雰囲気によりますが、メンバーで話し合って状況に応じた内容で披露できていると思います。余興の歌も一生懸命、皆で楽しくやっていれば、これはそんなにキメなくても良いのかな、と感じています。またメンバーの中では小嶋さん、紺野さんのダンスが大好評で、行く先々で拍手をもらっています。男性陣は歌や指揮で盛り上げる、という感じで、それぞれの個性を生かした活動ができています。

もちろんメンバーの誰かが体調を崩したら、皆でカバーし合っています。元気がないときは、すかさず紺野さんがビタミン剤を分けてくれます。そして小嶋さんがいるので何かと心強いです。先日の山道でのトレッキングでも私は手を貸してもらいながら、何とか無事帰ってくることができました。福ちゃんはとにかくフットワークが良く、機転を利かせて、場の雰囲気を保ってくれています。戸部リーダーはベテランロータリアンということで、フィリピンでの人脈も広く、我々メンバーが知らないロータリークラブの歴史を丁寧に教えてくれます。このような素敵な仲間たちと一緒に活動できることに喜びを、最近強く感じております。あと9日。心身ともに疲れていると、あまり前向きな考えになりませんが、眠れる時にゆっくり休んで、明日へ備えて1日1日を大事にしていきたいと思います。 

近況報告3 2004/3/1
 近況報告(フィリピンにて1)
フィリピンに到着してから3日が過ぎました。毎日スケジュールが盛りだくさんで、日本にいるときの10倍は汗をかいています。もちろん暑さのせいというのが大きいのですが、人と出会うことはかなりのパワーが必要だということを改めて感じています。現地の大場さんのご好意と適切なアレンジにより、スムーズな行動が可能になっています。感謝の一言に尽きます。ホームステイ先は姉妹に大学生の弟さんが一人という環境です。高層ビルの35階にあります。今のところ、朝早く出発して、夜遅く帰ってくる生活ですが、非常に適切に対応で、快適に過ごさせて頂いております。これまた感謝の一言に尽きます。

メンバーとの活動は、最初のプレゼンテーションが終わり、少しホッとしています。しかしながら、私も含めて、メンバー全員の暗記力が足りないのが問題点です。読みながらのプレゼンでは聴衆は興味を持たないので、次回以降、この部分の改善とタガログ語をもう少し取り入れて、より北海道について興味、関心を持ってもらえたらと思います。

また当初、バッジなどのプレゼント、バナー、パンフレットの渡すタイミングなどにとまどいがありましたが、基本的にいつでも渡せるように毎日各自適度な量を持参することにしました。プレゼントも皆がいるときに一斉に渡すようにすることにしました。もっと事前に決めるべきとも思いますが、これは実際に何度か経験しないとわからない部分だと思います。

<今の段階での簡単なまとめ>
フィリピンは暑い。独特の匂いがする。貧富の差が想像以上に激しい。道路がとても危険(車のそばを平気で人が行き交う)。ロータリアンのもてなし方がすごい。フルーツが美味しい。サンミゲールビールはライトが美味しい。今更ながら、ボーダフォンがあれば楽なのになあ〜と思います(私は今、インターネットが使えない状況)。余興の練習をもっとするべきでした。総合的に見て、計画性より臨機応変さが重要に感じます。

 近況報告2 2004/2/17
 いよいよ出発まで残りわずかとなりました。はじめに、事前準備を進めて行く上で、ご協力いただいた委員の方、同行するメンバー、職場、家族、友人、周囲の全ての方に感謝の意を述べたいと思います。ありがとうございました。振り返ると今回のプログラムに関わる皆様に初めてお会いしたのが2002年10月でした。その後1年をかけて研修会、勉強会を行い現在に至ります。これまでの活動の成果を十分発揮できるよう、気合を入れて取り組んでいきたいと思います。「郷に入っては郷に従う」を基本にしながらも、現地の方との距離感を近づけながら、日本の事も積極的に伝えていきたいと思います。最後にチームで取り組む際に重要だと感じたことを自戒の念を込めて言うと「早い段階での具体的なスケジュールと分担を明確にし、実行すること」だと思います(当たり前ですが、意外に大変と感じました)。現地の活動報告は美辞麗句に終始することないよう、五感をフル活用して自分の率直な言葉で伝えることを心がけたいです。

 近況報告1 2003/12/15
 12月からはメンバーのみの勉強会(主にプレゼンテーションと余興の準備)を行っています。通勤時間はタガログ語の練習をしておりますが悪戦苦闘中です。自分のテーマのNIEについては、現地の日本人の方とメールで情報交換しておりますが、どのようにまとめていくか、頭を悩ませているところです。仕事もこの時期は繁忙期なので、心身ともにあまり健全とは言えません。出来るだけ笑顔を心がけておりますが、近頃は自分でも「ゆとりがないなあ〜」と感じており、笑顔も引きつり気味です。そんな中でもメンバーと一緒に行う勉強会では、悩みながらもアイデアを出し合い、プレゼンテーション等が少しずつ形になっていく喜びがあります(打ち上げのビールが旨い!という別の理由もありますが)。委員の方々からも随時、適切なアドバイスを頂いております。皆様に感謝です!それに応えるためにも、出発までのこれからの2か月を充実したものにしようと思います。