RI5050地区(2000−01年度)
ジュリー・ロング女史の報告
2002年8月8 日
北海道での経験
北海道での信じがたいような素晴らしいGSE体験の後にカナダの家で前と同じ生活習慣を戻るのは大変難しいことでした。日本を去るときは大変寂しい思いをしましたが、今は北海道での貴重な想い出と新しい友達のことを大事に胸に抱いて過しております。
北海道の人々
人々は何処でも大変暖かく私たちを迎えて下さいました。お陰で私たちは何時も歓待されているのを実感し、光栄でした。そして毎日が新しい冒険の連続でした。
日本のイメージ
日本に対する私のイメージが変わりました。私はもっと古い、そしてもっと伝統的で情熱的な日本を想像していました。しかし北日本の北海道の風土はブリテッシュ・コロンビア州とよく似ていたばかりでなく、想像以上に近代的でした。札幌市の人口はバンクーバー市の人口150万人をやや上回っていますが、それでも札幌は非常に落ち着いた街との印象を受けました。混雑をそれほど感ぜず、しかも都市の機能のすべてが整っているように思いました。
今私は北海道とブリテッシュ・コロンビア州を比べながら、国家や家庭の違いを考えているところです。両地区には沢山の類似点がありますが、それでもなお文化、気候、産業、生活様式などの面で様々な相違に気付きます。
率直な印象
環境問題:以前から私は日本の環境問題に大変興味を抱いておりました。今回リサイクルの実例と環境を保全する手段を北海道で直接見聞し、その取り組み内容の素晴らしさを再認識しました。特に北海道でのリサイクリングの計画(廃棄物工場、発電所、ビール工場、リサイクル工場)の現場を視察することができ、非常に参考になりました。
事業:北海道は非常に自主独立的で、(木材と石炭)以外は輸入の必要がありません。必要なものは全てここで生産し、製造できるからです。カナダには様々な資源があり、われわれ自身で何でも生産できるはずなのに非常に多くのものを輸入しております。残念ながらカナダの重税が利益を難しくしているのです。
北海道の人々:人々がどのような職業についていてもそれぞれ自分の仕事に誇りを持っていました。ガソリンスタンドの従業員でも、旅行会社のガイドでも、獣医師でも皆同じです。
各都市と地域:それぞれの都市や地域に特産物や特有の生産施設があります。ラベンダー畑、サラブレットの馬などが良い例です。地域毎に持ち味を生かした特産物やテーマがあります。ですから私たちは何処を訪れても参考になることが多く、勉強になりました。
言葉:ニホンゴ(日本語)は本当に聞いて楽しく、自信に溢れた陽気な言語です。私は家で日本語の勉強を続けたいと思っています。こちらですでに新しい日本人の知人と日本レストランを見つけました。
音楽:音楽は日本文化の重要な部分です。音楽を聴くのは大変素晴らしいことです。私は音楽が皆の心に調和(ハーモニー)と平和(ピース)を与るものと確信しています。
大きさ(サイズ):車から掃除機まで、すべてのものがコンパクトで可愛いらしい感じでした。私は小さなミニバンを家に持ち帰りたいと本当に思いました。
ペット:動物が家族の大事な一員なのを見て嬉しくなります。北海道では動物も大事に扱われておりました。動物好きの私には嬉しい驚きでした。私たちのホスト・ファミリーやロータリアンの友達の多くが犬や猫を飼っていました。
文化の違い
女性の立場:カナダと違って日本社会では女性の立場が大変強いように感じました。自立心のある女性として私は海外を旅行し、世界中の教育について知識と見聞を広げたいと思っています。結婚して子供を育てるよりも、このようなことをしたいというのが私自身の選択です。私は家族を増やしたいと思う女性を尊重します。しかし私にはそうするか、しないかの選択の自由があります。幸いにも私の家族はこのことをよく理解していて私を支えてくれています。
私は女性が教育を終えて結婚し、子供を作り、家族(夫、子供、祖父母等)の面倒を見るという非常に強い伝統社会を見てきました。一方 若い人たちの中には教育を受けて独立し、仕事のキャリアーを積み、そして直ぐには結婚せず、家族も作らない女性がいることを知っています。これが現代社会の自然な流れで、このような社会ではキャリアー女性は身を固めるのを一番後回しにして仕舞い勝ちです。私は海外旅行などを通じて広く経験を積み、身近な世界の出来事をよく理解できるようになるのも大変大事なことと思っています。
私は日本の地域社会では事業所と家庭が相互に支援し合っているのを知り感銘を受けました。勿論カナダでも、地域社会で人々は皆互いに助け合って暮らしていますが、事業所などのビジネス社会と家庭の間ではまだそれほど互助は進んでいません。それでも小都市の方が大都会より相互扶助をする傾向は強いようです。
教育問題:私は日本の教育制度と将来のビジョンも非常に興味深く思いました。高等専門学校、単科大学、総合大学では専門科目と実用的な訓練の場が提供されていたからです(農業、教授法)。
健康問題:喫煙は私にとって重要な課題のひとつです。カナダでは、特に私の住んでいるバンクーバー市で喫煙は全ての公共の場で禁じられ、人気がありません。しかし日本では男性の喫煙人口が高く、またヘビースモーカーの多いのに驚きました。ですから岩見沢市は私たち非喫煙者チームを高く評価し、敬意を表してして下さいました。禁煙社会を目指すことは本当に思いやりのある対応です。私はタバコの煙りに曝されている日本と子供たちが心配でなりません。タバコが癌や其の他の健康障害(肺気腫、喘息等)と密接に関連しているのは周知の事実だからです。
食べ物:“オイシイ!”果物や野菜が実に様々ありました。それにお寿司の味は格別でした。私はメロン、アスパラガス、アイスクリーム、チョコレート、お茶を大いに堪能しました。
ホーム:家は非常に地味で、それほど贅沢でもなく、また地所も狭いのが一般的です。これは必要事項の優先順位と限られた土地のスペースによるものと思われます。
日本人が大事にしていると思われるのは:家族、教育、社交上の儀礼などで、過剰に贅沢なものを持つことではありません。皆様も素晴らしい車を持っていますが、ブリテッシュ・コロンビア州で住民は、まず第一に家と車を見せびらかそうとします。カナダでのこの優先順位は釣り合いが取れておらず、妥当でもありません。
伝統文化:あなた方の伝統、歴史、信用、儀礼などをこれからも長く守って下さい。そしてあまり近代的にならないで下さい。これらの伝統文化が日本や北海道を他の世界と比べてユニークなものとして際立たせているのです。これらが旅行者を惹きつけ、北海道は特別なところと訴えているのですから。
GSEプログラムに関する提案
私は、週毎にホテルの個室で一日ゆっくり休養できたことに心から感謝しています。チームメンバーが休息、反省、移動(新しいホスト・ファミリーと新しい都市へ)などのために幾らかの個人的自由時間(プライバシー)を持つことも大切です。
訪問地の替わる毎に少なくとも1回位、スケジュールの調整や職業研修などのためにメンバー同士のミーティング時間を取れれば好都合です。日本へ出発する前に、GSEメンバーは特殊な質問事項や専門用語などをあらかじめ書き留めたり、翻訳しておくべきだと思います。特に職業研修の時には正確な翻訳が必要だからです。
相違点と多様性
私たちは各地の都市や町村を視察して色々なことを経験するというまたとない機会に恵まれました。こうして私たちは多様な北日本の現状について、そして住民が日頃どのように考え、何を訴えようとしているかなどを広く展望することができました。
体力
家で毎日している運動(サイクリング、ランニング、ハイキング、カヌー漕ぎ)は大歓迎です。深川でのレクリエーション・センターとプール、札幌と岩見沢での公園の散歩は勿論のこと、幾らか大変でしたが静内でのハイキングは大変楽しいものでした。北海道の人たちは活動的過ぎるようにも思えませんが、ブリテッシュ・コロンビア州やワシントン州と同様に、サッカー場、アイス・ホッケー・アリーナ、プール、野球場などがあちこちにあるのに気がつきました。
ハイライト
伝統的な結婚式用の着物の試着、茶の湯、日本の若者たちとの伝統的な踊り、アポイ山の登山、札幌ドームのサッカー、夜の“すすきの”などのことがハイライトとして目に浮かびます。最高“オイシイ”お寿司は本当に新鮮で、特にマグロは口の中でとろけてしまうほどでした。またビール工場、チョコレート・ファクトリー、陶器作りと陶器職人、ガラス吹き、ブリテッシュ・コロンビア州の原住民とよく似たアイヌ民族の歴史、神道の神社、仏教寺院、博物館、総合大学、単科大学、農業専門学校、岩見沢と深川のログハウスやコテージでの宿泊、柔道の練習、カラオケ、留萌と支笏湖でのボート遊び、露天風呂の温泉、チーズとワインの工場、公園でのピクニック、赤ワイン、チョコレート、アイスクリーム、活け花、折り紙、パーク・ゴルフ、ロータリークラブでのランチとバーベキューなどなど、沢山ありました。
皆で上を向いて歩こう(スキヤキ・ソング)を歌いましたが、それは意気揚々とした調子のよい歌でした(スゴイ)。
意見
私は好きなように行き来できる自由を懐かしく思ったこともあります。これは北海道の反省ではなく、ロータリークラブが出来得る限りの多くのプログラムを用意し、様々な研修機会と楽しみを提供するという目的への反省です。
GSEでは、各自が親善大使の役割を果たすよう期待されていることもあって、私たちはどこでも“王族”のように大事にされていると感じました。またこちらでお会いしたロータリアンは魅力的な方ばかりでした;如才がなく、教養豊かで温かみがあり、また愉快で気軽に話しかけられるような人たちでした。
私は職業婦人、熟年夫人や若い女性とも特別の絆を結ぶことができました。彼女たちともっと個人的経験、生活様式、生き方、希望や夢などについて話し合えば良かったと反省しています。
最も印象的なこと
今回最も感銘したのは、私のホスト・ファミリーの寛大さ、愛情と友情の濃さでした。“私はどの家でも家族の一員であるように感じました。” このように、短い期間に培われた友情ですが、この素晴らしい友情の絆は私に特別な感慨をもたらしました。
私のホスト・ファミリーは
金子さん、松重さん、大西さん、渋井さんと森さんです。
“このGSEプログラムは私にとって生涯で最高の恵まれた機会でした。”
私はこの掛け替えのない体験を高く評価いたします。そしてこれからも日本、特に北海道の友人との貴重な_がりを大事に保ち続けたいと心から念願しています。
ロータリーのGSEは実に素晴らしい経験でした。
サンキュー! どうもありがとうございました!!!
ジュリー・ロング
カナダ、ブリテッシュ・コロンビア州
(武藤 順訳)
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